音声メディアが盛り上がっています。
特にいま注目されているのは、ネットの音声配信サービスです。
radikoの普及などによって、若い世代でもラジオを聞く人が増えています。
ビデオリサーチの調べによると、コロナ禍の影響で10代女性のラジオ聴取率が大きく伸びているそうです。
(年代別の聴取人口では10代はダントツに少ないのも事実で、たとえば40代と比べると16分の1以下と母数自体が少ないのはあります。
VR ダイジェストプラス
ただ、音声のサービスはラジオだけではありません。
Audibleなどのオーディオブック(本の朗読サービス)を使って、耳から本を読むユーザーも増えてきました。
そして、注目されている音声の中でも最近特に伸びているのが「音声配信サービス」です。
ネットの音声配信サービスといえば、以前はPodcastだけでした。
RadioTalkやStand.fmなど、多くのサービスが2017~18年に開始しています。
現在、日本でもっとも知られている音声配信サービスが Voicy(ボイシー)です。
Voicyは他サービスより早い2016年に開始した、日本の音声配信の草分け的存在です。
キングコングの西野亮廣さんや茂木健一郎さんなど著名有名人以外にも、起業家やフリーランスの、厳選されたパーソナリティが配信しています。
管理人(いわみ)も毎日移動中などに聴いて、耳から勉強をしております。
ひとつ気になったのが「アプリ内も放送にも広告は入っていないけど、運営はやっていけるのだろうか?」という疑問。
余計なお世話ですが、ファンとしてはずっと続いてほしいVoicy。多少お金を払ってでもいいと思える数少ないサービスです。
この記事の内容
- Voicyに広告がない理由
- なぜ運営できるの?
- 今後の収益化
- 新機能「プレミアムリスナー」について
- 音声配信の時代が到来?
《宣伝》「これから音声メディアがもっと来るはず!」と思ったので新しく『音声配信をはじめよう!』というサイトを作りました。
Voicyに広告が入っていない理由
この記事を更新している現在(2020年1月)、Voicyの配信に広告は入っていません。
いくつかのチャンネルに「スポンサーコール」がありますが、いわゆる「広告」はありません。
アプリ内課金もナシ。(2020年9月追記:「プレミアムリスナー機能」がVoicyに追加されました)
なぜなのでしょうか?
Voicy代表緒方さんや社員さんの記述を調べてみると、第一にあがってくるのが「まずリスナーが心地よいサービスにする」という理由のようです。
参考note:社長が突然言いだしたので「Voicy」に初導入のバナー広告ができた話
広告はどんな形であっても、少なからずユーザーが邪魔に思うものが大半です。
今はまだ広告は入れずに、心地よい音声配信の体験をユーザーに広めていく段階である、という構想のようですね。
広告主が少ない?
もうひとつ、広告需要自体がまだ少ないことも考えられます。
(Voicyに限った話ではなく)
テレビや動画に比べると、まだまだ音声配信はユーザー数が少ないのが現状です。
小規模な音声市場への広告効果は未知数なので、広告主自体が少ないのかもしれません。
運営していけるの?
って、他人事ながら気になってしまいますよね(笑)
知らない人から見たら「ボランティア?」と思ってしまうくらい良心的な設計のVoicy。
もちろん営利企業なので、収益をあげないと存続ができません。
収益化の仕組みは?
まず、現在のVoicy社はそれほど収益は出ていないみたいです。
収益的には赤字ですが、サービスの可能性を見通した投資家からは多くの資金を集めています。
Voicy社は過去に何度か大きな資金調達を行っています。そのお金は新サービス開発や人材の確保にあてるとのこと。
赤字は戦略的なもので、経営的に危機とかではないようですね。
Voicy代表の緒方さんは公認会計士→世界2周→ベンチャーキャピタル→自分でベンチャー起業という異色の経歴をもつ方で、エンジェル投資家や資金調達に関する専門家でもあるらしい。そんな人が興した会社なので、勝算はあるということなのかもしれません。
キャッシュポイント(利益を出す時点)を後ろに設計して、今はひたすらユーザーファースト、良い内容と使いやすいアプリを作っているということです。
Voicy代表の緒方憲太郎さんが、Twitterでこんな返答をしていました。
「広告ないですけど、無料で運営は大丈夫ですか?」と心配するユーザーに対して、
緒方さんの答えは「今は赤字だけど、良いものを作ってファンがついてくれば、収益は後からついてくる」という信念で事業をやっているようですね。
配信者(パーソナリティ)側の収益化は?
運営側にビジョンや野望があることは分かりました。
しかし配信者(パーソナリティ)側はどうなのでしょうか?
現在パーソナリティ数は300人くらいとのことですが、そのほとんどは無償で配信しています。
今はVoicyのチャンネルを持っていること自体がステータス的な面もあるので、個人で活動する人のプロモーションの場として使われている面もあるのかもしれません。
Voicyという存在が爆発的に認知されだしたのも、イケハヤさんやはあちゅうさんといったインフルエンサーが配信を行うようになったのがキッカケです。
人気パーソナリティにはスポンサーが付いている
人気チャンネルにはスポンサーが付いている番組もあります。
現在のランキング上位で見てみると、『ワーママはるラジオ』『澤円の深夜の福音ラジオ』『motoラジオ』などには「GREEN」という転職サイトがスポンサーに付いています。
とはいえ、ランキング上位常連の、サウザーさんや森拓郎さんの番組には外部のスポンサーは付いていません。
「この番組は○○の提供でお送りしています」というスポンサーコールで呼ばれているのは、自社のサービスです。
Voicyを集客メディアとして活用している(これからしようとしている)人も多そうですね。
もちろん、リスナーの役立つ内容を継続的に発信した結果としてファンが発生するので、簡単なことではありません。
自分の商品がなく、かつ無名の個人が配信する場合は、無報酬での活動が前提になりそうです。
それでもVoicyのパーソナリティオーディションに応募が殺到している(らしい)理由は、
- チャンネルを持つこと自体がステータスになる
- 認知度を上げるチャンス
- 質の高いリスナーが集まっているので、ビジネスチャンスにつながりやすい
といったところでしょうか。
将来の収益化は?
Voicy社の利益はどうなっているのでしょうか?
先ほど「収益化ポイントを後に設定しているらしい」と書きましたが、数年後(?)にどんな収益化を想定しているのでしょうか?
調べた限りだと2種類あって
- 現段階で動き出しているサービス
- 今は企画段階で、これからに動かそうとしているサービス
の2種類があるようです。
現段階で動いているもの
現段階で、Voicyの収益化につながっているサービスは2つあるようです。
① スポンサー
② 企業チャンネル
追記③プレミアムリスナー機能
スポンサーについては先ほど書いたとおりですが、一部の人気チャンネルには提供の企業がついているチャンネルがあり、この費用はVoicyを通して支払われるので、運営側にも利益があります。
パーソナリティが自社の商品を宣伝する場合には、運営側に利益は発生していないと思われます(自分で紹介しているだけなので)。
企業チャンネルとは?
Voicyには個人チャンネルだけでなく「企業チャンネル」があります。
「毎日新聞ニュース」、「ながら日経」、「ヤング日経」は新聞社、
「ちょっと差がつくビジネスサプリ」はグロービス経営大学院が配信しているチャンネルです。
企業チャンネルは「審査に合格してチャンネル開設する」個人配信者とは違って、
企業(配信者)側がVoicyに費用を支払ってチャンネル開設をしているようです。
それって企業側にメリットあるのかな?
管理人の個人的な想像ですが、Voicyでチャンネルを開設する企業の狙いやメリットは
- 音声配信プラットフォームが今後広まると予測していて、今のうちに種子をまいておく
- 新聞社などは、現状取り逃がしている若い年齢層のユーザーに届けられる
などがあると思います。
特に新聞社は音声メディアとの相性が良いと思います。
今後動き出す予定のサービス
Voicyファンとして、管理人が知っている情報です。
大きく言えば、Voicyがやろうとしているのは「音声配信のインフラ開発」のようです。
正直にいって、管理人もそれほど詳しく理解しているわけではありませんが、分かっている範囲ですと、
- スマートスピーカーでの配信
- IoT(Internet of Things)環境で増加する音声配信のプラットフォーム作り
- 企業の社内報などでの活用
スマートスピーカーでの音声配信は現在でも普及していますね。
「アレクサ、今日のニュースを教えて」って言えばニュースを読み上げてくれますよね。
設定すれば、「ヤフーニュース」などの外部サービも登録できます。
その中にVoicyが入ってくるイメージです。
※現在のアレクサで聴けるのは『Voicy公式ITビジネスニュース』のみ
IoT 時代に音声メディアの時代が到来?
IoTとはインターネット・オブ・シングス(Internet of Things) の頭文字で、「あらゆるモノがインターネットに接続される未来」を予測する合言葉みたいなものです。
パソコンやスマホだけでなく、ドアや車、そして家電といった「モノ」が常時インターネット接続になる時代がくると言われています。
分かりやすくいうと、「あらゆる家電にアレクサ的な機能が備わる」みたいなことです。
あらゆるモノや家電がインターネットにつながると、「音声メディア」の可能性が爆発的に広がる可能性があります。
「IoT時代に音声メディアの需要が増えて価値も上がる」というのは感覚的に正しい気がします。
「プレミアムリスナー機能」について
2020年9月からVoicyにプレミアムリスナー機能が追加されました。
いわゆる「チャンネル課金」というのではなく、そのパーソナリティを応援したいファンが
■声の月額課金機能「プレミアムリスナー」とは?
プレミアムリスナーはパーソナリティにとって”特別な”リスナーです。
リスナーは、毎月の定期的な支払いによって、今までよりももっと近い距離でパーソナリティの声を聴くことができます。パーソナリティは、プレミアムリスナーに対して限定の放送を届けることができます。
パーソナリティは、1ヶ月あたり100〜30,000円で自分のチャンネルにプレミアムリスナー価格を設定できます。プレミアムリスナー限定の放送とレギュラー放送(無料)は自由に切り替えることが可能。発信者側の設定の自由度が高く、自分に合ったスタイルでプレミアムリスナーとの関係性を構築できます。
PR TIMESより
https://service.voicy.jp/premium-listener
利用者数は、開始から1ヵ月で累計2000人超。なかなか順調な滑り出しのようです。
音声配信が爆発的に伸びる?
これからもっと音声配信が伸びると思います。
理由は
- 「耳の可処分時間」には空きがある
- 音声コンテンツはテキストや動画より制作が簡単
- 在宅の時間が増え、「人の声の温かみ」価値が増す
- ワイヤレスイヤホンの普及
- IOTの進化
Voicyをはじめ、Podcastや他の音声メディアの人気も高まっています。
※新サイトつくりました。
「音声配信は伸びる!」と確信したので専門のサイトを立ち上げました。
これからはブログではなく「個人が音声配信をする時代」になると思います。
そんな人のための入門書的なメディアに育てていきたいです。
ぜひご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。